触感ブックレコメンド
協力:仲谷正史(東京大学、『触楽入門』著者)

[ 音 ]

  • 音を視る、時を聴く [哲学講義] 大森荘蔵、坂本龍一 / 筑摩書房(2007)
    本書では音楽家の坂本龍一さんがイメージ・音・時間について問いかけ、哲学者の大森荘蔵さんが応えます。表現と哲学の対話がここに。
  • Sound Design 映画を響かせる「音」のつくり方  デイヴィッド・ゾンネンシャイン(訳:シカ・マッケンジー) / フィルムアート社(2015)
    本書は、映画音楽、効果音、自然音、発声音など、映像におけるあらゆる「音」の設計原理を解説します。人の心を動かす音は、すべからく触覚的であるといえます。

[ 音声と文字 ]

  • 日本語の音声 窪薗晴夫 / 岩波書店(1999)
    なぜ日本語の母音は「あいうえお」なのか。普段、何気なく話している日本語の音韻について、とても丁寧に述べられています。
  • 声の文化と文字の文化 ウォルター・J・オング(訳:桜井直文、糟谷啓介、林正寛) / 藤原書店(1991)
    人間の言語活動の歴史のほとんどは、書き言葉のないものでした。口承の文化と文字の文化は驚くほど異なっていることに気がつきます。
  • 筆蝕の構造 —書くことの現象学 石川九楊 / 筑摩書房(1992)
    本書では、文字で書くこと「?く」と表現し、?くものと?かれるものの間に生じる摩擦(「触」ではなく「蝕」)が書くことの本質であると述べています。

[ オノマトペ・共感覚 ]

  • オノマトペ研究の射程 —近づく音と意味 篠原和子、宇野良子 編著 / ひつじ書房(2013)
    オノマトペ(擬音語・擬態語の総称)が持つ音と意味の深い関係性について、心理学や工学、アート等、様々な観点からの分析を紹介しています。
  • 愛される人がさらりと使っている!女度を上げるオノマトペの法則 坂本真樹 / リットーミュージック(2013)
    オノマトペは五感に訴えかける言葉です。オノマトペを使うと、コミュニケーションをよりスムーズに、楽しく、魅力あるものにすることができるでしょう。
  • 共通感覚論 中村雄二郎 / 岩波書店(2000)
    五感を統合する根源的能力である「共通感覚(sensus communis)」が、人間社会の「常識(commonsense)」とどのように関連していくのか、現代哲学の視点から述べています。

[ エッセイ・詩 ]

  • おぱらばん 堀江敏幸 / 新潮社(2009)
    第12回(1999年)三島由紀夫賞受賞。タイトルの「おぱらばん」は、「Auparavant」というフランス語の発音から取られています。文章はとても音的・触感的です。
  • 前衛詩詩論 四方章夫 / 思潮社(1999)
    詩の言葉をその意味だけから考えるのではなく、文字の位置や形といった視覚的な関係性をその表現として取り入れた「具体詩」についての論考です。